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社員の求心力を高めるビジョン経営──惹きつける組織は“軸”を持っている
主催:
福岡市
採用がうまくいかない。採用しても定着しない。3年どころか、1年以内に辞めてしまう――。
そんな悩みを抱える企業は増え続けています。
採用競争が激化するなか、企業が向き合うべき本質的テーマは「採用成功」から
「人材定着と育成による組織力の向上」に移り始めています。
その鍵を握るのがビジョン経営です。
本記事では、実際の企業事例をもとに、理念を現場に浸透させながら、
ビジョン経営で組織をつくっていく方法と社員育成の実践方法をお伝えします。
経営者の想いや理念をどう伝え、社員の気持ちをどう理解するか。その答えを紐解きます。
多くの企業はミッション・ビジョン・バリューを掲げていますが、
それが現場の意思決定基準として活用されているケースは意外に少ないのです。
形骸化した理念は、社員にとって“壁に貼られた標語”にしかなりません。
その背景にあるのが、目的(目指すもの)と手段の混同です。
たとえば「海外進出」「売上●億円」「店舗数拡大」は本来、
企業目的を達成するための“手段”に過ぎません。
ですが、数字中心の経営に偏ると、社員は「なぜその目標を追うのか」という意味を見失い、
仕事が「やらされるもの」へ変質してしまいます。
ある成長企業A社の事例を紹介します。
そこでA社が設定したのが「安心」という共通の軸。
全ての行動において「安心」をもっとも大切な指針に掲げました。
ここで重要なのが、目的と手段を履き違えないこと。
目標は「○カ国進出、売上○億」といった具体的な数値
手段は「お客様へのヒアリングを行い、その方に応じた提案をする」といった日々の行動
大事なのは理念など考え方や目指すものを美しく掲げることではなく、戦略や行動を判断するための基準として機能させること。
A社は会議の意思決定、サービス改善、人事評価など、あらゆる場面でこの軸に立ち返る仕組みを徹底し、結果として、社員一人ひとりの判断がばらつかず、一貫した企業文化が育っていきました。
A社は、組織づくりにおいても、独自のルールを運用しています。
ずばり「楽しんだやつが1人勝ち」という考え方です。
やる気は教えられないからこそ、仕組みで解決するというものです。
その象徴的な制度として、自分の上司を投票して選ぶというユニークな仕組みを取り入れました。
「役職=権威」から「役職=信頼と貢献」へと意味が変化し、上からの指示で動く従来型マネジメントではなく、“この人と働きたい”と思われる人が選ばれるリーダー像が明確化され、切磋琢磨する競争心が生まれました。
また、組織の構造も独特。一般的にはピラミッド型の組織図が多いですが、
A社では「会社の理念をより理解し行動できる人が出世し、円の中心に近づいていく」という考え方を採用しています。
🌟権限ではなく信頼で動く
🌟命令ではなく共に戦う姿勢を持つ
A社が重要視したのは、「人の上に立つ」という時代遅れの発想からの脱却です。
リーダーは「キャプテン」であり、全員がプレイヤー
こうした考え方が、社員の自主性を引き出しているのです。
社員育成においても単なる「制度運用」ではなく「文化づくり」だと捉えているのがA社の特徴です。
具体的には
・充実した入社研修や社内資格制度、社内FA制度
・出産・育児への手厚い対応
など多様な施策を展開していますが、重要なのは仕組み自体ではなく、それを“人が人を育てる文化”に昇華させていることです。
また、サービスも商品であり、スタッフも商品の一部という考え方、そして「会社の○○さん」ではなく、「○○さんの会社」になろうという発想があります。
人で選ばれれば、価値は青天井。従業員も経営者も楽しんでいること、目立ったもん勝ち。こうした考え方が、社員一人ひとりの個性を輝かせているのです。
離職を防ぐために福利厚生や給与改善を図る企業は多いでしょう。
しかし、離職の原因は待遇そのものではなく、納得感の欠如にあるのではないでしょうか。
不満はゼロにはできないもの。ですが、「不満だが納得はできる」状態になれば、人は辞めにくくなります。
たとえば評価制度において、評価の理由が明確に説明されているかが極めて重要です。
✅何をすれば次のステージに上がれるのか
✅その基準は公平で透明か
これらの問いに向き合わず、評価決定だけを伝えるマネジメントは信頼を失うことになります。
逆に、説明責任を果たす組織は強いエンゲージメントを育てることにつながります。
そのためには
🌟給料を上げるだけではなく、公平で透明な判断に基づく給与を公平で透明に得られる環境を作る
🌟経営者は社員の「知りたい」に向き合い、すべてにおいて逃げずに説明する
ことが求められているのです。
ビジョン経営とは、企業理念を額縁から引きずり出し、現場の意思決定に宿らせることです。
🌟権威ではなく信頼で成り立つ組織をつくる
🌟人が育つ環境と機会を仕組みとして設計する
🌟納得感のある人事運営で組織の一体感を育てる
採用市場が厳しくなるほど、企業は「選ぶ側」から「選ばれる側」に変わっていきます。
人材定着を実現する企業は、魅力的な制度を持つ企業ではなく、一貫した軸を持つ企業だといえるのではないでしょうか。
理念は立派である必要はありません。ただし、「本気で実践されていること」でおのずと「選ばれる」企業へ昇華するのです。
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