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勝てる組織の作り方/前編:【組織変革の実践事例】―幼児性改善と対話が生み出した奇跡―

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理想の組織とは何かーー
多くの企業が課題として感じているものの、実改善に向けた具体的な行動には
移せていないのではないでしょうか?

理想の組織=「勝てる組織の作り方」と定義し、仲の良さや雰囲気といった情緒的な要素だけでなく、
明確な役割、ルール、文化、継続的な成長といった“構造”が存在する
「全員が一丸となり戦略と規律に従って結果を出すチーム」を形成しましょう。

前編の本記事では実際の事例を紹介しながら、組織戦略の構築や社員教育を通じて組織づくりに成功した方法を解説します。

 

「理想の組織」の本質とは?

本当に機能する組織の条件は、とてもシンプルで明確です。

それは、「チームで勝つことを全員が考える」こと。
会社とは本来、全員で協力して大きく稼ぐ場所です。
役員、リーダー、スタッフ全員に役割があり、全員が“大人”になって“幼児性”をなくし、
チームの勝利だけを考える。
そして、新人を育てる教育的な環境を作り、若手の生産性向上を図る。
会社発展のために必要な「ルール」と「文化」を明文化し、全員の誇りを醸成する――。

つまり理想の組織とは、
「全員がチームの戦略を理解し、自分の役割とやるべき行動に従いつつ、全員で仲間を支えながら、
一人一人が本気になって業務を実行する」状態
なのです。

 

7年間採用ゼロ、若手は転職志向――建設業界の組織変革実例
ここである地方の建設コンサルタント企業のケースをご紹介します。
創業50年、社員数20名、売上8億円。一見、堅調に見える企業でしたが、実態は深刻でした。
①当時の状況(2022年)
・7年間採用実績ゼロ、社員数が20名から増えない
・20代の若手は2名のみで、既に転職の意向
・技術者の平均年齢は60歳以上
・社員は内向的で自分の世界に閉じこもり、本気さを感じられない
・アトツギ3代目社長はITエンジニア出身で、リアルなコミュニケーションが苦手
・昭和文化が残り(女性社員のお茶くみ、掃除)、挨拶もしない、目も合わせない
・ハラスメント傾向が強く、「見て覚えろ!」という育成放棄
・給与は他社より割高で決算賞与も連続してあるのに、社員の不満は高い

社長は「やりたいけどやり方が分からない」タイプで、「東京では当たり前なのに」と不満を抱き、
「自分は変わる必要はないかも…社員が変われ!」という姿勢。

一方、社員は「何をしてくれるんだ?面倒くさい」「研修なんてやる意味が分からない」
と拒否反応を示していました。

そんな中、実施したのは「組織戦略作り」「社員育成」の2本柱です。

②組織変革の実践――月1回の「みらい会議」
【実践内容❶】組織戦略作り

【1】実態調査(サーベイ)で社員満足度(エンゲージメント)を測定
【2】評価制度の運用変更と1on1MTGの導入(社長のコミュニケーション力向上)
【3】各階層の役割を明確化

【4】管理職教育
・採用の厳しさと育成力について学ぶ
・ハラスメント防止(若手社員と女性社員への適切な対応)
・他社(異業種)へのスタディツアー

【5】全社員教育
・幼児性の改善
・ビジネススタンスの習得

【6】採用担当者の育成
・女性社員と若手社員でチーム形成
・採用ブランディングの刷新

 

◆この実践をしている中でうまれたのが、月1回のみらい会議

「社長+リーダー4名+中堅2名+女性2名」のメンバーで集まり、組織を変えていくために何が出来るかを話し合う時間を作りました。

 

・1人3分間の「GOOD&NEWSトーク」

集まってはみたものの、これまでコミュニケーションが不足していた社員同士、雰囲気も固く良い意見は出てきませんでした。

そこで取り入れたのが、「GOOD&NEWSトーク」

嬉しかったことや面白かったことなど、1ヶ月間の出来事をテーマに雑談をする時間を作りました。
話していくうちに、家族の話が出てきたり相互理解や価値観の共有ができ、次第に仕事への想いが溢れるようになりました。

 

・カエル会議

みらい会議の中で、“会社のここを変えていこう”を話しあう「カエル会議」を実施。これまで続いていた文化や制度を変えていきました。

└女性社員のお茶くみ、清掃、片付けの廃止

└朝礼に「GOOD&NEWSトーク」を導入
└外国人技能実習生の採用導入(現在4名)

そして現在は、ビジョンや行動指針の刷新に向けて取り組んでいます。

③「幼児性」の改善――社員育成の本質

【実践内容❷】社員育成

社員育成の鍵となったのが「幼児性の改善」です。
幼児性とは、責任を負いたくない、傷つきたくない、楽をしたい、本気でやらない、人のせいにする、すねる、愚痴を言う、遅刻が直らない、同じミスを繰り返す…など、自己中心的で未熟な態度のことです。

若手社員、それ以外の社員、それぞれに向けて「幼児性の改善」に向けた言葉を繰り返し投げかけ続けました。

若手社員へ
・思い描いた人生を生きろ。目標がないと人に人生を操られるぞ。
・働く目的は自分の将来のためでいい。でも働く中身は「人のため」。
・自分の幼児性に気づけ。カッコ悪い自分に気づけ。(他責、拗ねる、自己中心が一番カッコ悪い)
・会社は皆で寄ってたかって稼ぐところ。全員で協力しろ。
・自由になりたいなら、周囲の信頼を勝ち取れ。そして必ずリーダーになれ!
・”普通”は勝ち残れない、要望を超えろ。夢は人が叶えてくれる。
若手社員以外のすべての社員へ
・チームで結果を出すことが仕事だ。
・チームの全てを把握することがリーダーの責任である。
・頭の中の70%は未来のことを考え、常に先手を打つ。
・部下のために時間を作り、愛情を注ぐこと。
・部下育成はひとりひとり個別で考え、対応すること。
・部下を成功させることが上司の役目であり、部下が勝てる戦術を作ること。
・まずは自分が理想な大人を目指すこと。
④3年目の奇跡――組織変革がもたらした結果

組織変革から3年、この企業は劇的に変わりました。

・「毎朝、雑巾がけしよう!」(自主性の向上)
・「正しい日本語で話そう!家族を受け入れよう!」(外国人技能実習生への配慮、危険防止、社員愛)
・挨拶のシャワーを浴びる職場に(チームワークの醸成)
・「朝から笑い声が聞こえる」(周囲企業からの評判アップ)
・「こんな働きやすい会社があると知らなかった」(2年連続、高卒2名採用)
・移住者の経理経験者、第2新卒2名の採用に成功(透明度が高そう、働きやすそう)
・社員の若返り化でマイナス25歳(ヒエラルキー文化の消滅)
・「予算を絶対落とさず、受注してきます!」(立派なリーダーの誕生)
・「創立60周年目にサプライズ企画をしましょう」(自社への誇りと感謝)
まとめ――対話が組織を覚醒させる

多くの中小企業が抱える組織課題の主な原因は、
マネジメントができないプレイングマネージャー、社員の幼児性、コミュニケーションの少なさ、勝つための定義が見えづらいことなどです。

解決策は明確です。
目標を定め、戦略を立て、必要な組織定義を行い、全社員教育して幼児性を改善し、
機能するマネージャーを揃えれば、現状の課題はほぼ3年で解決します。

無策でルールも定義もなかった企業も、組織を定義化し、合意形成するまで対話を続け、
現場で教育を通して落とし込めれば、会社は一丸となります。
諦めていたベテラン社員も、未来が見えづらくなっていた若手社員も、目標を持ち、人が覚醒することで、組織は進化するのです。

「組織作りを成功できれば社員は動く。教育的な組織なら社員は辞めない。会社の永続性が高まる。中間リーダーが事業を維持し、拡大する。人は育つ。」
――この真実を、ぜひあなたの組織でも実現してください。

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