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勝てる組織の作り方/後編:人と組織が成長する「8つの定義」とは? ―一貫性が社員の信頼を生む―

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理想の組織とは何かーー
多くの企業が課題として感じているものの、実際に改善に向けた具体的な行動に移せてはいないのではないでしょうか?

理想の組織=「勝てる組織の作り方」と定義し、仲の良さや雰囲気といった情緒的な要素だけでなく、
明確な役割、ルール、文化、継続的な成長といった“構造”が存在する
「全員が一丸となり戦略と規律に従って結果を出すチーム」を形成しましょう。

後編の本記事では、人と組織が成長する「8つの定義」を詳しくご紹介します。
多くの中小企業が抱える“慢性的な組織課題”を、構造的に解決するためのフレームワークであり、
実践できれば多くの中小企業が抱える課題が解決可能であるといえるでしょう。

 

人と組織が成長する「8つの定義」

組織を機能させ、社員を成長させるためには、以下の8つを明確に定義し、伝える必要があります。

1. 目的の提示
・企業理念
・企業ビジョン
・企業運営方針

💡「こういう会社にします」という方向性を示すこと

 

2. 目標の提示
・短期定量/定性目標
・中期定量/定性目標
・組織目標/役割目標

💡具体的な数値や期限を含めた明確なゴール設定

 

3. 戦略・戦術の提示
・目標達成する筋道と理屈
・現状課題と解決策
・優先順位の提示

💡「こうすれば勝てます」という勝ち筋を明確に

 

4. 編成と指示
・組織図・管理者
・人員配置
・業務内容、役割

💡誰が何をするのかを明確にする

 

5. 業務方法の提示
・目標設定法・指示方法
・業務フロー&ルール
・会議・報告のルール
・使用ツールの決定

💡「こんな仕事のやり方をしましょう」という具体的な方法論

 

6. 期待する能力の提示
・人財像・管理職像
・必要スキル・必要思考
・組織文化・行動指針

💡「こんな社員になってください」という期待値の明確化

 

7. 採用・教育
・入社時の基礎教育
・内面指導、業務指導
・キャリアプランの示唆
・採用(新人・中途・リーダー)

💡人を育てる環境と仕組み

 

8. 実際の評価
・報酬制度(能力等級)
・評価制度(査定と昇格)
・個人面談(目標管理シート)
・フィードバック

💡「こんなルールでやっていきます」という公平な評価基準

 

定義を実践するための6つのステップ
8つの定義を社員に伝えるとき、一気に全てを伝えるのではなく、一貫性を持って【概ねの組織イメージ】を段階的に伝えることが重要です。簡単に言えば、以下の6つです。
① こういう会社にします(目的と目標)

会社のビジョンと、中長期で目指す姿を明確に

 

② こうすれば勝てます(戦略)

市場環境や競合を踏まえた、勝ち筋の提示

 

③ だから、こんな社員になってください

管理職、中堅、若手それぞれに求めるマインドセット、知識、スキルを明示

 

④ だから、こんな仕事のやり方をしましょう

役割、担当責任、権限、業務方法、目標設定、指示方法を統一

 

⑤ だから、こんなルールでやっていきます

管理方法、報告方法、会議、報酬制度を明文化

 

⑥ だから、こんな文化を持ちましょう

チームワーク、職場ムード、社内交流のあり方を共有

 

これを全社員が信じてくれて(納得性)、実行できるようになると、理想的な組織に深化します。

「やること・目標・戦略」「組織・定義・ルール」「頑張ってくれる社員」の3つを揃える――これが組織づくりの本質です。

部下との対話――8つの定義の伝え方

定義を作るだけでは不十分です。部下一人一人と、繰り返し対話を重ねることが不可欠です。

こんな話を部下とできていますか?

「この仕事はこうやろう」(やり方)
「この仕事はこうすればうまくいく!」(成功方法)
「この仕事はこのルールで進めたい」(業務ルール)
「この仕事にはこの能力を高めることが必要だね」(必要能力、スキル)
「この仕事の目標をここにしよう!」(目標)
「この仕事が達成できれば、こんな褒美があるぞ」(成果)
「この仕事の喜びはこれだと思うんだ」(喜び)
「この仕事をこのレベルでやってくれたら評価するよ」(評価)
「この仕事をやり遂げることこそ、我々の使命だ」(理念)
「この仕事がうまくいけば、いつかこんな未来が実現できる」(未来)
「この仕事の達成は絶対に君のためになる」(意義)
「この仕事は意義のある、いい仕事だ」(価値観)

部下のスタイルに合わせて、繰り返し、繰り返し、対話を重ねるしかありません。

一貫性ある施策を様々な方法で社員に伝える

8つの定義を実現するためには、以下のような具体的な資料やツールが必要です。

ミッションステートメント
事業計画書(長期・中期)
組織図
業務規程書
部内業務マニュアル
全社業務マニュアル
就業規則
行動指針
研修資料、試験内容
入社時研修資料
採用時説明資料
等級シート(コンピテンシーシート)
目標管理シート
給与規定

重要なのは、【概ねの組織イメージ】を一貫性を持ってイメージしておくこと。
経営陣、リーダーには、その一貫性を共有します。
ただし、一般社員には、一気に伝えない。一気に進めると社員は全く消化しきれません。
優先順位を考えつつ、時間をかけて少しずつ渡していく(1年~2年)ことが大切です。

まとめ――「一貫性」と「対話」が組織を変える

会社が社員に何を期待しているのか、社員が会社から何を得られるのか、
それを明確にし、一貫性を持って伝え続けることで、社員の信頼と納得性が生まれます。

「組織力」に対する価値観は人それぞれです。
集団スポーツ経験者でリーダーとして成功体験のある人は「チームのムードがよくなると、すごい結果が出る」と信じています。
一方で、個人主義や歩合制ビジネスの経験者は「優秀な個が集まれば結果は出る」と考えがちです。

だからこそ、対話が必要です。8つの定義を通じて、「こうすれば勝てる」という共通認識を作り、全員が同じ方向を向いて進める組織を作りましょう。
目標、戦略、組織定義、ルールを揃え、一貫性を持って伝え続ける。それが、人と組織が共に成長する近道なのです。

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