株式会社スズキアリーナ大隅
副社長 萩元邦庸さん
副社長 萩元邦庸さん
Q.具体的には、どんな働き方改革を推進したのですか?
そもそも当社は曽於市にある田舎の会社で、人材獲得が難しいのは自明のこと。ですから、応募を集めるためには福利厚生の改善が早急に必要でした。社内では「そんなにやって、うちは大企業じゃないんだから…」と制度を整えることに反対する声もありましたが、むしろ大企業以上のことをやらなければ、求職者に選んでもらえる会社にはなれないと思っていました。といっても、大仰なことをしたわけではありません。2017年当時、曖昧だった就業規則や福利厚生の諸制度を整え、85日だった年間休日を20日間増やして105日に。その後も増やし続け、2025年度は年間休日を125日にすることが決定しています。育休制度も整え、男性育休取得率は今や100%を達成。もちろん、女性の育休からの復帰率も100%です。長く働いてもらうことも大切ですが、社員の今をもっと働きやすくしたいという思いで制度改革を行ってきました。
しかし、休日を増やしたところで業務量は減るわけではありません。今まで社員たちには業務効率化をお願いしてきましたが、それでもマンパワーには限界があります。そこで、私たちはITによる業務効率化に踏み出すことにしたのです。
Q.ITによる業務効率化とは、どんなことをされているのでしょうか?
近年では新卒採用が軌道に乗ってきたこともあり、新しく情報システム課という部署を立ち上げました。現在では8名の若い社員たちがITの外部研修を受けながら、RPA(※)などを学び、実践しているところです。今までアナログで行なっていた業務を、ITの力でもっとスピーディーに簡単に行えるようにしました。また情報システム課では、昨年ありがたいことに学生インターンが10数名ほど集まり、その中からUターンのIT系学生が来年度入社する予定です!彼の入社でますます勢いづき、このまま社内DXがぐんぐん進めば、商品化も夢ではないと思っています。
(※)「Robotic Process Automation」の略で、ソフトウェアロボットを使ってパソコン上の業務を自動化する技術のこと
Q.車の会社なのに、IT商品ですか?
はい!実は私たちもシステムを導入運用する際には様々な壁にぶつかった経験があります。これから他の鹿児島の中小企業がDXを進めるにあたっても、きっと同じような壁にぶつかるでしょう。そんな時、私たちの経験と知識を活かしてITコンサルティングのようなことができたら、と考えています。都会と地方のIT格差を埋めていく、それこそ私たちにしかできない地域貢献の形ではないでしょうか。もちろん、車のディーラーという事業は残したままに、です。もっとお客様からも、求職者からも、企業からも、選ばれる会社になっていきたいですね。曽於市の片隅で、馬鹿げた夢を語る人がいるものだと笑ってもらって構いません。でも、なぜか失敗する気がしないんです。働き方改革のおかげで、パワーとモチベーションのある若い社員が多く入社してくれました。経験は少ないけれど、その分実行力と伸び代が大きくありますから。