非日常のひと時、観光列車への誘い

3月も下旬、春の陽気が心地よく、どこか遠くへ出かけたくなる季節がやってきました。そんなとき、観光列車で旅をするのはいかがでしょう。九州7県を5日間かけてめぐる「36ぷらす3」の黒の路(鹿児島中央駅~宮崎駅間)は8,000円弱で乗車可能(グリーン席プラン)。沿線地域の方々のおもてなしを楽しみながら、列車に揺られて鹿児島の美しい春景色を満喫できます。今回は、そんな春の旅にもぴったりな「36ぷらす3」の黒の路(鹿児島中央駅~宮崎駅)乗車レポートをお届けします!

◆36ぷらす3とは
世界で36番目に大きい島である九州を5つのルートで運行するJR九州D&S列車※「36ぷらす3」。黒の路は鹿児島中央駅~宮崎駅を約4時間20分かけて走ります。乗車プランは食事付きのランチプランと気軽に乗車できるグリーン席プランの2種類。途中2つの停車駅では、地域の人によるおもてなしを楽しむことができます。また豪華な装飾の車内も気分を上げてくれます。

※D&S列車とは
Dは特別なデザイン(Design)、Sは沿線地域に伝わる歴史や伝説などのストーリー(Story)を指し、JR九州の観光列車を「デザインと物語のある列車」と呼ぶ。

1 鹿児島中央駅~霧島神宮駅

金曜日の午前11時過ぎ。JR鹿児島中央駅の3番のりばに停まっているのは漆黒ボディーに金色のエンブレムを付けた6両編成の「36ぷらす3」。個室の1・2号車、個室とビュッフェの3号車、4号車はマルチカーで、5・6号車はグリーン席という編成です。車体のデザインは九州新幹線をはじめ多くの観光列車を手掛ける水戸岡鋭治氏によるもの。かつて鹿児島と博多を結んでいた特急「つばめ」をフルリノベーションした車内は、とにかく豪華!一歩足を踏み入れただけで異世界に迷い込んだようです。

11時22分、「まもなく、旅が始まります」という車掌のアナウンスを受けて列車がゆっくりと走り出します。3月15日に開業したばかりの「仙巌園駅」を通過するころには進行方向右手に桜島と錦江湾が見えます。竜ヶ水駅では通過列車待ちのため停車するので、車内から桜島を撮るには絶好のスポットです。(※下車はできません)
桜島が見えなくなったらちょっと車内探検、まずは3号車へ。ここではドリンク・アルコール類や軽食、お土産、オリジナルグッズが販売されています。また車内で行われるイベント「黒酢の紹介」の受付端末もあります。軽食などをとるなら4号車のマルチカーがおすすめです。ここは乗客ならだれでも自由に座れるテーブル席やお嬢様気分に浸れるソファ席などがあります。竜ヶ水を過ぎたあたりからランチプランの乗客は食事タイムになるので、フリースペースでゆっくりしたいならこの時間帯がおすすめです。
そして12時50分頃、霧島神宮駅に到着しました!
ここでは列車から降りてぜひ地域のおもてなしを楽しみましょう。勇壮な太鼓の音に迎えられながら列車を降りると、ぢゃんぼ餅のふるまいなどがあります。また、改札ではおもてなし犬の「ハチ」くんもお出迎えしてくれます。さらに駅舎前では足湯も楽しめるなど、約25分の停車時間では足りないくらいのおもてなしを受けられます。そして、2024年3月にリニューアルした駅舎もとっても素敵なので、ぜひ写真に収めてみてくださいね。

2 霧島神宮駅~大隅大川原駅

霧島神宮駅を出発し一息ついていると、すぐに次の停車駅の案内があります。13時25分ごろ、大隅大川原駅に到着です。
ここでは約45分の停車時間が設けられており、ログハウス風の駅舎とその周囲で地域の方たちによるお茶のふるまいや、キッチンカー販売、観光協会のお土産販売などがあります。また車掌さんや客室乗務員と同じ帽子が用意されているので、この帽子をかぶっての記念撮影もいいですね。その時はぜひ「36ぷらす3は? サンキュー!(39)」の掛け声で!

3 大隅大川原駅~宮崎駅

地域の方々の見送りを受けて再び走り出した「36ぷらす3」。ここからの区間では九州の35のエピソードを詰め込んだこの列車ならではのイベントが行われます。黒の路(鹿児島中央駅~宮崎駅)は「黒酢の紹介」イベントです。黒酢の作り方などを動画で学んだあと、3年熟成と10年熟成の黒酢の飲み比べができます。鹿児島に住んでいてもなかなか体験しない飲み比べ、改めて鹿児島を知る機会にもなります。なお、曜日によって体験内容や有料・無料は異なるので、詳しくはHPをチェックしてみてくださいね。
楽しかった旅の時間もいよいよ終盤。都城あたりでは進行方向左手に優美な姿の高千穂の峰や霧島連山を眺めることができます。都城盆地を過ぎ、両脇に木々が迫る山間を走り抜けると宮崎市街地に。もう終点の宮崎駅はすぐそこです。大淀川を渡ると、列車は静かに宮崎駅に到着しました。

特急「きりしま」の2倍近い時間をかけて結ぶ鹿児島~宮崎の旅。豪華でお洒落な車内だけでなく、停車駅での地域の方々とのふれあいや、車内イベント「黒酢の紹介」など、「36ぷらす3」でしかできない体験ばかりでした。みなさんもぜひ、車窓に広がる鹿児島の美しい景色を楽しみながら贅沢なひとときを過ごせる観光列車で、春の小旅行に出かけてみてはいかがでしょうか。

〇こちらもおすすめ! 「指宿のたまて箱」

九州新幹線全線開通と同時に登場した特急「指宿のたまて箱」はJR鹿児島中央駅~指宿駅を約50分で結ぶ観光列車です。竜宮伝説に登場する浦島太郎の、たまて箱を開ける前と後での髪の色を表した黒と白のツートンカラーが目印。錦江湾と桜島を眺め、指宿グルメを楽しみながら時間を忘れて旅してみましょう。

〇世界遺産の目の前に誕生した「仙巌園駅」

2025年3月15日、鹿児島に2010年以来となる新しい駅JR「仙巌園駅」が開業しました。この駅は世界遺産「明治日本の産業遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」に含まれる「名勝 仙巌園」の目の前に位置し、ホームからは錦江湾に浮かぶ雄大な桜島を望むことができます。