鹿児島大学では、学生が主体性を発揮することに重きを置いた「かごしま課題解決型インターンシップ/キャリア実習」を全学年・全学部学科の鹿大生を対象に毎年実施しています。学生たちはどんな課題に挑み、どんな解決策を導き出したのか?受入企業となった鹿児島トヨタ自動車の神川さんと参加学生のお二人にお話を聞きました。
鹿児島トヨタ自動車株式会社
営業本部 新規事業・地域連携グループ
神川さん
鹿児島大学
法文学部 3年生
K Kさん
鹿児島大学
農学部 2年生
Y Kさん
鹿児島トヨタ自動車株式会社
営業本部 新規事業・地域連携グループ
神川さん
鹿児島大学
法文学部 3年生
K Kさん
鹿児島大学
農学部 2年生
Y Kさん
Q.学生のお二人が、インターンシップに参加した理由や経緯を教えてください。
K Kさん:3年生の私は就活本番をひかえる就活準備期間。学内で実施される就職支援講座の受講や就活準備ガイダンスにも積極的に参加しています。鹿児島トヨタ自動車さんが実施するプログラムへの参加を希望した理由は、「トヨタ式問題解決」を学べること。車には詳しくありませんが、誰もが知っているあのトヨタの問題解決の考え方や手法を体験できることに強く興味をひかれました。Y Kさん:私は2年生なので就活はもう少し先になりますが、周りの友達が就活に対する意識が高く、インターンシップにもよく参加していたんです。そんな友達の影響を受けて「私も参加してみよう!」と思ったのがきっかけです。実際、2年生のうちから色んな会社や仕事を知ることは、3年生になって就職を考え始めるときの自分の選択肢を広げることにもなりますよね。せっかくなら、いま学んでいる農学分野以外の職業を体験したいと考え、鹿児島トヨタ自動車さんへの参加を希望しました。
Q.鹿児島トヨタ自動車さんが提示した課題と実施プログラムの概要をお聞かせください。
神川さん:モビリティ(移動)に関する地域課題の解決をテーマに、トヨタのカーシェアサービス「トヨタシェア」の稼働率UPにつながる仕掛けづくりを考えよう!という課題を提示しました。実施プログラムのポイントは「トヨタ式問題解決8ステップ」というトヨタで実践されている考え方の5ステップまでを学び([1]問題の明確化→[2]現状把握→[3]達成目標の設定→[4]真因の特定→[5]対策立案)、このステップにそって課題解決策を導き出すことを目標に取り組んでもらいました。一連のプログラムを通して、私たちが参加学生に一番学び取ってほしいと考えたのは、 “問題の根源”を突き詰め、突き止めること。単に、目の前にある課題を解決する対策を10日間かけて考えてみようではなく、カーシェアサービスが本当に鹿児島県の地域課題解決につながるのか?稼働率がUPしない本当の問題はなにか?そんな真因を自分たちなりに考え、見つけ出すことでした。
そのためにまず取り組むべきは現状把握です。実際、二人にも当社が展開しているトヨタシェアのステーションに足を運び、現地現物で現状把握を行うことから始めてもらいました。なぜこの地域なのか?なぜこの設置場所なのか?周辺環境はどうか?どんな人が利用しているのか?・・・二人なりに本当に解決すべき問題点を洗い出し、明確にした上で、必要な対策を考え始める。この“問題の明確化”と“真因の特定”を深掘りするプロセスの大切さを理解してもらうことを一番のポイントにしてプログラムの実施とサポートを行いました。
Q.インターンシップに参加して感じた率直な感想と得られた学びを教えてください。
K Kさん&Y Kさん:楽しかったです!(二人声をそろえて)K Kさん:知らないことを知れる、経験したことがないことを経験するというのは、やはり楽しいですね。興味を持ってのぞんだ「トヨタ式問題解決」という考え方の学びは、今後の自分自身の人生においても役に立つ知識をいただけたと思っています。
印象的だったのは、例えば、問題の要因はコレかな?と予想したことに対して、実際に現地に足を運んで、現場の状況や周辺環境を見たり、電話で問い合わせたりして、自分が立てた仮説が正しいのかを徹底して確認・分析・検証しながらプログラムを進めていくところ。机上の空論で終わらない実習は、リアルな手応えとやりがいを感じることができました。
Y Kさん:私も問題と向き合うときの考え方が大きく変わりましたね。加えて実習時の時間配分について、神川さんからは毎日のように「いま取り組んでいるこのプロセスは、この時間までに終えましょう!頑張って!」と声をかけていただきました。就業時間内でやるべきことをやり遂げ、成果を出すという社会人の厳しさと時間の使い方の大切さを学びました。
また10月に開催される感謝祭の企画会議に同席させてもらう機会もありました。会議と聞いてピリピリとした空気感を想像していたのですが、打ち合わせの様子は終始なごやかで、来場者に喜んでもらえるようなアイデアや企画を考えるのはやっぱり楽しそうだな~、と皆さんの雰囲気から感じました。
Q.最終的にお二人はトヨタ式問題解決にそってどんな解決策を導き出しましたか?
K Kさん:私たち二人は、まず問題の根本原因をカーシェアというサービスやトヨタシェアが鹿児島ではまだまだ知らない人が多いという認知度の低さにあると結論づけました。認知度を高めて、シェアカーならではの利用メリット (車が必要なときに必要な時間だけいつでもスマホ1つで利用できる)を知ってもらえれば、鹿児島ローカルでも利用者の獲得と稼働率UPは可能だと考えたんです。見えてきた対策案のうち、自分たちが取り組めるもの は、認知度UPを目指した広報・広告活動の取り組み強化策です!Y Kさん:指宿駅の駅裏にある指宿駅駐車場の一角に設置されているトヨタシェアのステーションを例に、私たち二人が導き出した対策は・・・
【対策#1】駅構内にある指宿観光案内所にトヨタシェアの利用メリットを記載したチラシを作成して置かせていただき、駅利用者へのPRを強化しました!
【対策#2】指宿の観光情報サイトのアクセスページにトヨタシェアのステーションを掲載していただき、観光客の方々の利用促進を図りました!
【対策#3】カーシェアサービスの利用モデルの紹介広告として「トヨタシェアを利用して2時間で回れる指宿観光」という動画を作成して、WEBやSNS等で配信するという企画を考えました!(残念ながらこの動画は作成途中で完成には至りませんでした)
神川さん:通常インターンシップは就業体験を通して、様々な会社や仕事を知る機会の提供を目的としますから、どうしても学生側は受身になってしまいがちです。しかし今回のような課題解決型インターンシップの場合は、学生が主体。二人とも試行錯誤の連続だったと思いますが、主体性を発揮してよく頑張ってやり切ってくれました!
当社役員の前で10日間の成果報告を発表する場では、動画作成が間に合わず、100%の完成度には至りませんでしたが、二人がトヨタ式問題解決のステップごとに、現状を把握し→あるべき姿を考え→現状と理想の間に生じているギャップを確認・分析・検証して→真の問題点を明確にし→どんな対策を導き出し→どのように実行したかという課題解決に挑戦した一連のプロセスは、その内容も成果物も受入企業である私たちの期待をはるかに超える成果となりました。
Q.地元就職の良いところは?将来鹿児島にUターン就職を考えている方へのメッセージをお願いします。
K Kさん:地元就職の良いところは、やはり安心感でしょうか。住み慣れた街、見慣れた風景、聴き慣れた言葉(方言)、そして一番は困ったり悩んだりしたときに相談できる家族や友人がそばにいてくれる地元に暮らし、働くことはやはり安心だと思いますね。Y Kさん:私は鹿児島出身なので地元鹿児島で就職したいなと漠然と思ってはいましたが、今回のインターンシップ参加という貴重な経験を通して、仕事で自分が生まれ育った街や地域に貢献できる地元就職はやっぱりいいな!とあらためて感じました。
神川さん:地の利を活かして活躍できることも地元就職の良いところだと思います。例えば、鹿児島市出身者なら、市内のどこになにがあって、どんな経路で行けばいいかは、調べなくてもおおよそわかりますよね。モビリティサービスを提供する当社の仕事でなら、そんな自然と身についている地元ならではの土地勘が仕事の強みになったりします。
鹿児島へのUターン就職をお考えの皆さんも、地元出身者ならではの強みを活かせる地元就職を検討してみてはいかがですか。